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そらのしたで >>きみのかたち6

「…と,いうわけなんだ」
教卓に立った仁が,谷口の話を説明した。
正直,ここまで大きな話になるなんて思っていなかった。
応援団長として,皆の意見を聞いてから答えを出したい。
これは,仁とマリアの両方に共通する思いだった。

仁の話が終わると,防衛組の面々はざわざわと話しだす。
それを手で制して,マリアが「それで,皆の意見を聞きたいの。どう思う?」と続けた。

「僕はいいと思うんだ」
飛鳥がさっと立ち上がり,皆をぐるりと見回しながらそう言う。
「他のクラスの下級生たちが,参加したいって言ってるんだったらそうしてあげたいし。
僕らだけが楽しいって言うのは,何だか違うような気がして来たんだ。」

「さっすが,飛鳥君。優しい〜」
ポテトがうっとりとした表情でそう言うと,れいこも
「飛鳥君の考えかたって大人だわ」
と呟く。
「飛鳥君の意見に賛成よ。実は放送部の後輩からも,お願いされてたのよね」
と,きららも発言する。
「あたしのとこの下級生も,そんなこと言ってたわ」
美紀もきららに同調した。
「さんせ〜い」
「はい,あたしも賛成」
こうして女子の大半は飛鳥の意見に賛成した。
これは防衛組にとっていつもの光景では,ある。

「他のみんなはどう思う?」
マリアはじゅんに男子の顔を見ながら訊ねた。
「おれはちょっとつまんねえと思うけど…」
ポツリとそう言ったヨッパーに,「ちょっとヨッパー」と,小さくクッキーが声をかける。
「いいのよ。ヨッパーの意見もきかせて頂戴」
マリアが促すと,少し面倒臭そうに立ち上がって,ヨッパーが話し出す。

「だってさ,応援グッズってもともとおれらのチームのユニフォームだったはずだろ。
他のクラスも参加するんだったら,意味なくならないか?」
「それだったら,色を分けてもらえばいいんじゃないかな」
吼児がヨッパーに向ってそう言う。
「ほら,僕らのチームはハチマキの色に合わせて赤色だったろ。だったら,2組は白にすれば,チームカラーで分かるんじゃない?」
吼児に言われ,ヨッパはそうだけど…と口籠った。

「俺は賛成するよ」
「あきら,どうぞ」
ハイ,と珍しく手を上げてそう言ったあきらに,仁は促す。
「飛鳥も言ってたけど,俺らのチームだけで独り占めするのは,なんだか勿体ない様な気がして来たんだよな。
それにさ,なんだってメダル型だぜ。下級生の奴らがそれを欲しいって言ってくれてるって,すっげえ嬉しくないか?」
「そう言われると,そうかもな…」
ヨッパーがあきらの方を向いて,そう応える。

「あきら君,あたしもそう思うわ」
ラブも立ち上がった。
「他のクラスのみんなが,あたしたちに向けてくれる気持ちに,応えたいなって思わない?
楽しいことは,みんなで一緒に味わった方が,もっと楽しくなると思うの。」
ラブの熱意のこもった発言に,皆はさらに盛り上がる。
「僕ら地球防衛組がこうして今でも活動できるのって,まわりのみんなのお陰だしね。
その感謝の意味も込めて,みんなにバッヂを付けてもらうのっていいと思う」
ひろしも手を上げてそう言った。

「それじゃあ,決をとります。2組チームが応援バッヂを使用することに賛成のひと」
マリアがそう言うと,はい,と一斉に手が上がった。
マリアが仁を見て,笑った。
仁もまた,鼻の下を擦りながら,にこっと笑った。
ふたりともおそらく,同じ気持ちだった。


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